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   ぎごちない軌跡
蝙蝠が飛ぶ
黒いぎごちない軌跡で蝙蝠が
そこいらじゅうへ増えて飛ぶ

頬をかすめ背をかすめ
視界は羽ばたく暗がりへ
足の踏み場は奪われて
体は過去に
あるいは未来へ引きずられ
そこで見るものは胸をえぐる場面だとしても
それは所謂記憶と予感の上に建つ景色

外からは幾万の蝙蝠も黒い泥のように見え
その下の意識は沈められた人間のように見え

時折
くるくると螺旋を描いて上のほうへ行く泡が
暗い水底から水面までを
くまなく照らして、過ぎるのだろう

 

 
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