5.四ノ宮那月の憂鬱


 セシルくんは良いなぁ。
 さんと合奏しているって聞いたときはうらやましくて
 僕とも合奏してください! って頼んじゃいました。
 そしたら、

「四ノ宮さんみたいに上手な人とですか!?
 私、自信ないです。ごめんなさい」ってお断りされました。

「ふつー引くだろ。お前レベルの奴に言われたら。
 ていうか、俺でも断られると思うぞ」

 翔ちゃん、なぐさめてくれてありがとう。
 上手に演奏できるって良い事だけじゃないんだね。
 僕はぎゅーっとお気に入りのピヨちゃんを抱きしめた。
 ピヨちゃんは可愛い。
 でもは、もっと可愛い。
 僕がいままで出会ったなかで一番可愛い。
 それにぎゅってすると、あったかい。

 僕はをいつも「大好き」って気持ちをこめて抱きしめます。
 そっと大切に、きれいなお花を風が包むみたいに気をつけて。
 にも、いつか僕のことを抱きしめて欲しい。
 だけどその前に僕以外の人を好きになってしまったら?

 ああ! そんなこと考えたくない。
 今から新しい楽器を練習しても、合奏できるレベルになるまで時間がかかるし。
 僕には翔ちゃんみたいな可愛さもない。
 小さいころは、よく可愛いって言われたんだけどなぁ。

「あのさ、まだセシルやトキヤがとそんな、まあなんてーの?
 特別仲良くなったわけじゃねーんだしさ。元気出せよ!」

「そうだね。僕、気分転換にお料理しようかな」

「え、あぁ、いいんじゃね? じゃ、俺はそろそろ」

「翔ちゃんの分も作るよ! いっぱいなぐさめてもらったし」

「そりゃ友達なら当然だろ。気にすんなって、那月!」

 翔ちゃんは格好良く部屋を出て行ってしまった。
 とりあえず、一人でお料理してたら何か思いつくかも。
 ともっと仲良くなれそうなことを。
 きっと僕にしかできないことがあるはずだから。











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◇2017.2.21








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