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51. ぬすんだ杭を抱いた手に いくつものささくれを立てて 雨の夜に大きな目をあいている
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52. 緑陰に酷暑のまなざしを遠ざけ わたしたちは暮れるまで うたい交わして凪いでいた
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53. 立ったり座ったりして 露草が 青い髪挿を磨いている
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54. 東からくる風は言う 潮の声を持ったけれども 聞けるほどには磨かれすぎて細かだと
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55. 爪でえぐった傷 こわい夢は消えないまま 小さな冠をきらめかす
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56. 混み合っている言葉たちに あしあとが 猫と知れるのが残されている
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57. きらりきりきり しずくの音が ひかりとであって鳴っている
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58. 黄色い貝がらのある浜に 波の櫛あとを わたしたちは触れず見ていた
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