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湧き上がる雲と青空
 
   
 日記ではなく、詩でもなく。日常にまつわるお話。
「来世決定」

 今年も残りわずか。私は、母とお墓参りに行ってきました。
 洗い場で見てみると、片方の花立ての底が茶色くて浅い。
 しかも、茶色いものは丸い形をしていて、ナニコレ? と近くの棒でつっついてみると、大きな栗でした。
 すっぽりとはまりこんでいる栗。もちろん腐敗している元高級品。どうやって入ってしまったのか謎です。もしかしたら鳥がくわえていたのを落としたのかもしれません。いくら珍しいものでも、取り出さないと花が挿せないので、棒で突き回して外へ出しました。
 花を挿し、水をかけて手を合わせていると、曾祖父が『まだ来んでええから』(まだこっちへ来なくていいから)と言って頭を撫でてくれました。ハイ。ありがたいお言葉です。いろいろありますが、うっかりそっちへ行かないように気をつけます。
 で、掃除中に私は、コロンと足を滑らして尻餅をついたんです。
 母が間髪入れずに「あ、猫になるわ!」
 私の地元では、お墓で転ぶと来世は猫になる、と言われています。
 私の来世が決定した年末でした。

2011年12月28日(水)
「7月の意気込み」

 皆さま、すごく暑い日が続いていますがお元気でしょうか。
 こんなにほったらかしな私とホームページに、メールくださった親切な方、ありがとうございます。元気が出ました。
 おかげさまで、私はなんとか生家でヤモリが太っていくのを見たり、職場の近所の燕の巣が日一日と育ってゆく燕のヒナで一杯になってから空っぽになる様子を見て時間の過ぎる速度に背筋が寒くなったりと、刺激の多い毎日をすごしているようです。
 さて、梅雨が明けると、俳句の世界では夏の終わりの一区切りにさしかかります。
 初夏、仲夏に続く、晩夏です。
 実は毎年この時期になると、私のホームページ制作モチベーションは上向きます。というのも、ホームページのサーバー契約金を支払うのが7月だからです。
 1年契約なので、入金額を見つめながら「今日から、ここから」と思ったりするのです。
 数字の影響力の大きさを噛み締めつつ、またあれやこれやを書いていきます。

2011年7月16日(土)
「歳時記」

  船団の会HPの投句にて、また一句予選に選んでいただけました。

 ねだられて猫の肩揉む日向ぼこ  遠野あきこ

 これは、実体験に基づく句です。
 我が家の猫は、のどの下や腹だけでなく、背中や足のマッサージをしてもらうのが大好きでした。
 特に、私が通りかかると凄まじい声で鳴いてから、おもむろに背を向けて座って待っていました。
 その猫は昨年四月に天寿を全ういたしました。
 いまだに悲しくてたまりませんが、私が思い出す彼女は、背を向けて座っている姿が多いです。

 ところで、「これから、もっと俳句の勉強をします。」と言うと、「どんなことをするんですか?」という質問をいただくことがあります。
 具体的に一人で行っているのは、先人の句を鑑賞する「佳句鑑賞」。「たり・る・らる」など、古語助動詞の正しい活用を身につける。季語を学ぶ。といったことです。
 中でも、季語の知識は欠かせません。
 江戸時代の句を理解するにも、句を作るにも、たくさんの季語を知っていないといけません。
 本格的な歳時記は、春・夏・秋・冬・新年の五冊にわかれ、各季節の動植物や風物が分類されて列挙され、例句も収録されています。
 ところが、実は私が今まで使っていた歳時記は『ハンディ版 入門歳時記』(角川書店)という、入門者向けのものでした。
 入門用は、収録語数が少ないのです。
 入門期を過ぎれば、使う歳時記も高いレベルのものへ変えて行くものです。
 より季語の収録数が多いもの、構成の傾向、あるいは編集者に敬愛する俳人が入っているかどうかにこだわって選ぶ方もあるでしょう。
 これは例えるなら、英語の勉強が進むにつれて、ジーニアスや、英英辞書を使うようになるのと同じです。
 というわけで、私は昔買った『俳句歳時記』(平凡社)の「冬」の埃を払って使い始めました。加えて、祖母が譲ってくれた『大歳時記』(集英社)も活用しています。
 平凡社刊行のほうは、構成が手堅い印象で、例句には俳人名だけでなく、所収の句集名まで載せられている点が気に入っています。
 集英社刊行の見所は、美しい写真と絵画が多数収録されている点でしょう。
 冬の季語、「狐火」の項には歌川広重筆の「名所江戸百景・王子装束えの木大晦日の狐火」が載せられています。
 お恥ずかしいことに、これが冬の季語だとは、歳時記を替えるまで知りませんでした。まったく精進が足りません。
 それで、前に「俳句で怪談はできますか」というような質問をされた時に、「そんな、語るのに長い文字数が必要なテーマは、俳句向きでは無いので無いと思います。」などとお答えしてしまいました。あれは誤りでした。
 では、狐火が詠まれた句を見てみましょう。

 狐火や髑髏に雨のたまる夜に  蕪村

 この句は大変知名度が高いですが、かといって、これが現代人の感覚で言うところの「怪談」として詠まれたかどうかは、断言しかねます。
 なぜなら、蕪村の生きた時代には、野山の人骨や狐は、現代よりも日常的にあったと考えるからです。
 こういう句もあります。

 狐火の燃えつくばかり枯尾花  蕪村

 枯尾花とは、枯れたススキです。ゾッとする景色というより、自然現象を見て写生した句と感じられるのですが、いかがでしょうか。
 これらの句は、蕪村俳句集4巻収録で、こちらのWebサイトで公開されています。
  時代が下がると、狐火は、はっきりと怪談の色合いで詠まれています。

 太郎に見えて次郎に見えぬ狐火や 上田五千石
 おともなく狐火将棋倒しかな 三宅清三郎
 狐火を恐れぬ祖母を恐れけり 島田まつ子
 狐火を見てきしという髪じめり 佐藤きみこ

 最後に、超常現象だの怪談だのを信じていなさそうな視点も、紹介させていただきます。

 狐火を信じ男を信ぜざる  富安風生

 諧謔と、俳人の皮肉な眼差しが伝わってくるようで、私はこの句が好きです。

2011年1月9日(日)
「うれしい年賀状」

 今年も、心のこもった年賀状を、たくさんいただきました。
 可愛いウサギの写真入りだったり、先輩からの暖かい激励の言葉が入っていたり、どれも、じっくり読ませていただいています。
 ふだんは手紙をあまりもらわない時代なので、一層嬉しいのかもしれません。  その中に、意外な方からの年賀状がありました。
 週刊少年ジャンプで『賢い犬リリエンタール』を連載されていた、葦原大介先生からの一枚です。
 リリエンタールという名の、黄色く賢く可愛くけなげで一途なワンちゃんが活躍する物語で、私の大好きな作品です。
 これは、ファンでも感じることですが、この作品は、そんなに巧みなストーリー展開とは言えず、キャラクターも良い人ばかりで深みが感じられなかったため、あえなく32話で打ち切りとなりました。ジャンプのカラーに合わない作風だったのも、大きな要因だったことでしょう。
 ですが、客観的な視点を持つことと、愛する作品の打ち切りを悲しみ惜しむことは両立できます。
 その証拠に、あんなに毎週アンケート葉書を出して応援したのに、と思うと、いまだに悔しくてなりません。
 そこまで私が好きな作品を描かれた葦原先生から、暑中見舞いに続いて、年賀状をいただきました。
 イラストは、紋付袴のお兄さんと妹のてつこちゃん、そのそばに、紋付袴でモチを食べているリリエンタールの三人が、神社の前で和やかにすごしている場面でした。
 新春らしく紅色をバックにして、まず目に入るのは、両耳をウサギに見えるように目いっぱい持ち上げられているリリエンタール。
 リリエンタールの耳で遊んでいるのは、振袖姿のてつこちゃん。着物は、紫の地にピンクを基調とした梅の図案が散らされていて華やかです。結い上げた黒髪には、つまみ細工風の髪飾りも。
 葦原大介先生。『賢い犬リリエンタール』の次に、どんな作品を発表されるのか、期待してお待ちしております。

2011年1月4日(火)
「新年」

 新年
 明けまして おめでとうございます。
 昨年は、何かとお世話になり、ありがとうございました。
 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 写真のうさぎ、お腹におみくじが入っています。これから引くのが楽しみです。
 さあ、今年はどんな年になるのでしょうか。
 皆さまにおかれましては、新しい一年が
 憂い少なく
 幸多く
 銀世界のきららかに輝くような年でありますように!

2011年1月2日(日)
「大晦日」

 今年も、あと数時間です。
 毎年のことですが、毎回新鮮で貴重な気持ちになるのが不思議です
 あまり更新していないサイトですが、新年の準備として、例によってトップ画像を掛け変えました。
 皆さま、どうぞ良いお年を。
 そして、来年もよろしくお願いいたします。

2010年12月31日(金)
「投句のあと」

  自分の句が選外だった時、何が原因だったんだろう、と思います。
 それが、大多数の選者にとって「良い!」と即断される句でもなく、情景がわかりやすい句でも無いと、よけい選んだ方の感想が知りたくなります。
 句会に出れば賛否両論が聞けるのですが、ネット投稿となるとそいうわけに行きません。
 その点、今週の早瀬淳一先生は[ひとこと]と題して、投句された句のほとんどに講評を添えてくださっているのが嬉しかったです。傾けてくださった労力に感謝しつつ、興味深く拝読いたしました。
 予選に入った句以外は名前が出ていないので、わざわざバラすようで、取り上げるのが恥ずかしいのですが、せっかくなので全て出します。

 まず、下の句は取り上げた材料の距離感に問題があったようです。
>★近い★
>冬空に白き水紋龍翔る

 残り3つは一言いただいています。
>偽りの毛皮たじろぐ動物園
>・・よくわからない。

 そうでしょうね。
 作った本人は「これは詩だ!」という確信だけ持って投句しました。

>船やぶれデータ流るる冬の海
>・・尖閣諸島のこと?

 はい、そうです。
 工夫したところは「やぶれ」をひらがなにした所です。

>冬空の裾ひるがえす朝霞
>・・イメージが結びにくい。

 空を擬人化したのは分かりにくかったですね。
 ちなみに、予選に入った次の句は、空想句です。

>暑がりの君と知りつつ毛糸編む   遠野あきこ

 この、あまり実感を伴わずに作った句より、意味がわからなくても「これだ!」と思った句が選ばれるほうが嬉しいのですが、それは、さすがに無理を言っているな、という自覚もあります。
 適度にバランスの取れた句が出来れば一番なのですが。


2010年12月19日(日)
「長い近況報告」

 大変ご無沙汰しておりました、遠野あきこです。

 突然ですが、私も含め、人間に備わっている能力は色々あります。
 その一つが「記憶力」。
 過去の出来事を覚えておける力です。
 たとえば長期間ホームページをほったらかしていたけれども、前回は最後に何を書いたのか、その間に何があったのか、昨日の夕食は何だったのか、などを自在に思い出せるかと言えば、そうは問屋が下ろしません。
 前回何を書いたかを、きれいに失念しておりました。
 時間が開きすぎて申し訳無いやら情けないやらで、忘れたころにやってくるものにはロクなものが無いことを考え合わせるだに、何とも申し開きしようがございません。
 ちなみに、昨日の夕食は、実の弟の誕生日が12月13日なので、豪華にすき焼きでした。
 明、お誕生日おめでとう。何度か命が危ういときもあったのに、今は元気に家庭内情報を暴露したり、SF小説を書いたりしていることを、姉は喜ばしく見守っています。
 今日まで何があったかというと、父が紫綬褒章を受章したのを皮切りに、11月上旬には熊野に旅して宇江敏勝さんにお会いしました。
 宇江さんは、私が子供のころから繰り返し読んでいた『山びとの動物誌』の著者で、ずっとお会いしたかった方でした。
 山の生活、炭焼きの仕事、動物たちが活写されていて、読み飽きない本です。  中辺路のお宅にお邪魔して手作りのどぶろくをいただき、近くの山を案内していただき、お土産に、宇江敏勝さんの『炭焼日記』『山びとの動物誌』を原作にしたマンガ、『炭焼物語』のサイン本までいただきました。(作画:武野繁泰氏)
 この作品は電子ブックス版も発行されています。

 私は熊野から帰ってきてから風邪を引き、もたもたと医者へ行くと「二次感染していますね」と言われました。
 つまり、風邪が私の体内で白血球と戦端をひらき、味方を応援する風邪陣営が第二次攻防戦の観戦に没頭していると、そういうことではありません。
 なぜ、お医者様というものは、わかりやすく「こじらせている」とおっしゃらないのか不思議です。
 風邪が長居したので、鬱々と11月を過ごすうちに、これではいけないと強く感じるようになりました。
 私には、何事に対しても、かなり身構えてしまったり、考えすぎるあまり、着想を行動に移せずに長期間過ごす傾向があります。
 なにか比較的敷居の低い、肩に力が入りすぎる時期を遙か昔に通り抜けたところから手をつけるのはどうだろう、と考えました。

 そうだ、俳句。

 実は、中学生の時に祖父直木孝次郎から手ほどきを受けて以来、ほそぼそと、とぎれとぎれに続けているのが、俳句です。
 これから毎日ひとつは句を作り、週一回投稿することと決めてから、五週目に入りました。投稿先は、坪内先生主催の船団の会のホームページにある俳句クリニックです。
 12月1日の十句選に入選。8日は選外。
 今、私の一週間の中心は、十句選の発表のある水曜日です。


2010年12月13日(月)
「桂米紫さん襲名披露公演」

 23日の土曜日に、大阪はワッハホールで催された四代目桂米紫さんの襲名披露公演に行って参りました。
 出演の皆さまは、出演順に次のとおり。大変豪華です。
 桂小鯛、桂紅雀、月亭可朝。このお三人さんの噺のあと、中入りを挟んで口上。
 その後、桂ざこば、桂米紫のお二人の噺でした。
 さて私は、「歩く伝説」たる可朝さんを生で拝見するのは初めてで、最初はのんびり聞いていたものの、噺の前に可朝さんご自身の博打エピソードが面白いこと。昔、野球賭博に手を染めて、刑事さん相手に「なんで野球賭博だけいけないのか。競輪や競馬だってお金賭けるやないですか。」なんてことを聞かれたところ、刑事さんがビシッと「あれはヤクザの資金源になる!」と言われたそうです。
 可朝さん、客席に向かって不思議そうな表情で一言。
 「わし、勝ってましてんで?」
 そのトボけた味と、軽妙洒脱な語りに誘い込まれるように会場に笑いが広がりました。
 五つお聞きした噺の題は、パンフレットに書かれていなかったので調べました。このインターネット全盛のご時世、落語を調べるデータベースもあるだろうという見当が当たって良かったです。
 まずは結果からまいりましょう。
 小鯛さんの噺は「つる」。語源を聞いて、よそでひけらかそうとした男が、どうも思い通りに事を運べないという、「十徳」に似た形式の噺。
 紅雀さんの噺は「花色木綿」。とにかく「裏に花色木綿」がついてまわる、楽しい泥棒噺でした。
 可朝さんは「狸賽(たぬさい)」。壷振りの所作もスマートかつ堂に入っていてお見事でした。
 ざこばさんは「強情くらべ」。なんとなく、噺家さんのお人柄と噺の相性が良さそうだと思いました。
 そして、米紫さんが熱演されたのは「替り目」。酔っ払いの男の独白が聞き所の噺だそうです。題を調べて初めて気がつきましたが、やはり襲名披露という節目に合わせて、この噺を選ばれたのではないでしょうか。
 当日はとても楽しく、また落語について勉強になりました。
 桂米紫さん、襲名おめでとうございます。
 最後に、落語の題を調べるために、お世話になったサイト様を書き添えておきます。
 ・落語検索エンジン「ご隠居」
 ・落語検索

2010年10月25日(月)
「ほおずき」

 食用のほおずきがあるそうです。
 独特の甘酸っぱさ、と書かれてあるのですが、私はあいにく食べたことがないので「そうか。独特なのか。」と思うしかありません。
 この食用ほおずきは様々な食品に加工して売られています。
 ドライフルーツや、お酒、ジャム、そしてシュークリームもあります。
 イメージキャラクター名は「ほおずきんちゃん」。
 こちらのサイトで見てみたら、ほおずきヘアの女の子がデザインされていました。
 頭巾をかぶっているわけでは無いところが、すこし意外でした。

2010年10月21日(木)
「洞察への御礼」

 母の知人の方から私について、非常に的確な人物評をいただきました。
 その方いわく、「あの繊細さは強烈ですよ」
 これは、蛇の道は蛇であり、神経質は神経質を真に理解するという例です。
 私と同じような強烈に繊細な方が所属されているのは、神戸の歴史ある文芸同人誌VIKINGです。的を得た人物評に費やす観察力と熱量は、新たな作品製作に注がれたほうが建設的では無いかと、チラリと思いました。
 さて、上記のグーグルの手の届かない場所にあった公式ホームページも、こうやってリンクを貼ってしまえば数日後にはウィキペディアに載っても不思議ではありません。高踏的かつ芸術的な文芸同人誌関係者様におかれましては意に染まぬことやもしれませんが、インターネットとは情報を共有してこそ存在意義があるのです。
 これを機に、純文学を関西で極めたいと思う方が神戸の文芸同人誌VIKINGに気軽にアクセスされるようになれば、同誌同人の高齢化には歯止めがかかり、見事な作品が編集人氏を嬉し涙に暮れさせるほど多数産み出され、純文学の血脈が太く輝かしく受け継がれ行く可能性が上がることと信じております。

2010年10月12日(火)
「古いお宮のかぞえうた」

 ひとつお供に提灯ゆれて
 ふたつ重ねた鈴の音
 みっつの飴は蜜の色
 よっつ遠くの子を呼んで
 五つ積まれた石塔に
 六日探した失せ物も
 七夜を越えて川渡る
 八つお社めぐるうち
 九つ灯した蝋燭は
 とうに狐が吹き消した

 <あとがき>
 これを作ったのは2006年11月で、長いことお蔵入りになっていたものを引っぱり出してきました。

2010年10月3日(日)
「カナザワ映画祭」

 先週末は、カナザワ映画祭で「クトルゥーの呼び声」を観てきました。
 そして怪談専門誌『幽』の怪談イベントへも行ったものの、残念だったのは、頭痛と寒気のせいで深夜2時ごろに眠っていて、実話怪談のほとんどを聞き逃したことです。
 イベントでは、京極夏彦先生が超美声で怪談を朗読されたり、貴重なフィルム上映があったり盛だくさん。
 また、ぐったりしていたら、怪談作家の三輪先生に上着を貸していただいたりして、大変得難い時間を過ごしておりました。
 三輪先生、その節はお世話になり、ありがとうございました。

2010年9月23日(木)
「2年半」

 ほのかに葛の花の香りを感じるようになりました。九月ですね。でも、まだ毎日暑いですが、皆さんはお元気でしょうか。
 私の体調を心配してくださった方、ありがとうございます。
 私は、なんとか元気です。
 他の方からは、「詩の更新はしないんですか」と聞かれて、のそのそと過去の雑記を見てみたら、なんとまあ2008年2月14日以来のご無沙汰でした。
 何のサイトを何のために、などと悩む前に、単葉に「風力計」をアップしました。
 読んでいただけましたら幸いです。

2010年9月12日(日)
「ケミカルSF」

 お盆休みが終わったので、かかりつけの内科へ行きました。
 二週間ほど前、腸の具合がすぐれないので受診したところ、意外にも「胃が荒れていますね。今年に入ってから診たうちで、一番所見が悪いです。」と言われてから、症状がさして好転しないためです。
 胃痛、吐き気、胸やけはしないのに、胃が荒れているとは。
 ところで、もらっている薬は、まるで宇宙人のような名前です。
 お話仕立てにすると、こんな感じでしょうか。

 『銀河大作戦〜オーロラの贈物〜』

 木星。メタンを多く含む厚い大気に覆われた星に、ニザノンは住んでいました。仕事は運送業です。
「この荷物、今日中に頼むよ。」
 木星の1日は約10時間です。
 ニザノンは、バタバタと丸いブルーグリーンのポッドに乗りこみ、自信たっぷりに目指す座標を入力しました。
 ところが、急いでいたせいか、気流ナビゲーションの確認を忘れていたようです。
「わー」
 数分飛んだあたりで、ニザノンのポッドは大赤斑の周りを巡る気流へ落ちてしまいました。
 業務用のポッドは推力が小さいので、流れに身をまかせるしかありません。ということは、元の場所へ戻るだけで、約6日かかってしまいます。
(…また給料をカットされちゃう。)
 ニザノンは、ノロノロと通信チャンネル表を目で追いながら、深いため息をつきました。

2010年8月16日(月)
「大作戦にロックオン」

 昨日、リンクに2件お迎えしました。
 私が6月からお世話になっている作劇塾さんと、詩を中心としたコンテンツの豊富さが、さながら水系の広がりを連想させるサイト「IfeignDe@th」さんです。
 作劇塾の塾長は、『新耳袋』で有名な中山市朗先生。小説家・漫画家をはじめとした、幅広いクリエイター養成を行われています。
 その塾へ通いはじめてから、私の何かが変わったか、と聞かれると、答えはYESです。ささやかですが、以前に比べて自分の気になったことを質問できるようになりました。
 たとえば、先日入った丼屋さんでのことです。店内の壁に「ななめ45度大作戦」と書かれた紙が張られていました。それは従業員しか出入りしない配膳口に近く、どんな内容か想像がつかなかったので、支払いの時にさりげなく店員さんに聞いてみました。

私「あの、”ななめ45度大作戦”って、どんな取り組みなんですか。」

 すると、若い女性の店員さんは恥ずかしそうな笑みを浮かべ、目を泳がせ、見るからに決まりが悪そうでしたが、とても誠実に身振りを交えて答えてくださいました。

店員「あっ、あのっ、それはですね…こう、…お客さまとお話するときに、ちょっと…こう、首を傾けるっていう…」

 そして、語尾は笑顔で濁しつつ、首をかしげて作戦を遂行。
 なお、この大作戦を実際に体験したい方は、「膳や」なんばウォーク東店をご訪問ください。

2010年8月13日(金)
「名士の名刺」

 私は、勤め先の社名が入った名刺を持っています。
 二年以上前に、無料名刺ソフトで手作りした名刺です。ほとんど出番はありません。
 正しい名刺の在り方にについて読んだことはあります。
 確か、敏腕営業マン氏の営業テクニックで「名刺は毎年新調せよ」と言われていました。そうすると、取引相手に毎年名刺を渡すことになり、自然、自分をお得意様に印象づけられるのだそうです。
 まだ、そこまで極めようとは思いませんが、近頃、とあるデジタル関連会社の社長さんや、クリエイターの方とお話する機会があり、名刺交換の後、私の名刺は隙だらけだと痛感しました。
 作劇塾のKさんと名刺についてお話したところ、「中山先生が、肩書きをつけるようにと言われた」と教えていただきました。
 なるほど、一目で初対面の人間が何者かわかり、業績、仕事、地位、得意技などが伝われば言うことありません。
 しかし、印象深さを狙うにしても、その内容に責任が持てなければ逆効果です。
 私の場合は、どんな肩書きが適当なのだろうと考えながら、さしあたり「文筆家」とキーボードを叩いてみました。すると、語句変換されて登場したのは「分泌家」。インパクトは十分です。
 念のため、肩書きに据えた場合の会話もシュミレーションしてみました。

私「わたくし、こういうものです。」
相手「ほお、…分泌家、というと、どのようなものを?」
私「はい。特にドーパミンの分泌に力を入れております。」

 思ったより夢の無い会話ですね。
 ただし、もし私が漆や砂糖楓であったなら、上の肩書きでも何ら問題ないと思います。

2010年8月2日(月)
「相棒はPDA」

 毎日暑いですね。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
 私は、暑いのと寝不足が重なり、注意散漫になりがちで困っています。
 どこかで明るい話に方向転換しなければ、と思いながら、この文章をシグマリオン3で書いていたら、「注意三万」と変換してくれました。
 まるで注意力が増えているようで、良い感じです。
 付き合いが5年目に入る相棒が、気を使ってくれているのかもしれません。

2010年8月1日(日)
「軽いか重いか」

 世界で一番、カロリー表示がついていたら、売れ行きが悪くなりそうな食べ物はドーナツだと思います。
 そんなことを考えながら、最近、新発売のドーナツを食べました。
 ふわっふわの生地の上に果物のジャムがホイップクリームと一緒に乗っていて、懐かしいデザインと、いくつでも食べられそうな軽い口当たりが良かったです。
 はたして何カロリーなのか。
 気になったので、食べたドーナツを調べにオフィシャルサイトへ行ってきました。
 私が食べたのはジャパフル佐賀産いちご(別ウィンドウが開きます)。193kcalと、予想より親しみを感じるカロリーでした。

2010年7月20日(火)
「うしろ姿」

 ずーっと変わらないものなーんだ?

 更新されないホームページ!

 こう書いた途端、上のナゾナゾが当てはまらなくなっていたら狙い通りです。

 せっかく、サイトについて励ましのコメントをいただいたのに、感謝しつつ更新していなかったので、何から書き始めたらいいかということについて、必要以上に悩んでしまっていました。
 手元には2つの話がメモしてあります。
 1.鳩の話
 2.亀の話

 鳩については、立つ鳥後を濁しまくりであったとかいう、政界がらみの内容ではありません。でも、なんとなく時期が悪い気がするので、また今度にします。

 亀の話をします。
 もう、40日ぐらい前のことです。
 近所に住んでいる祖母の家の庭先に、小さい亀が通りかかりました。
 さっそく孫である私に知らせてくれたので、亀を見に行くと、祖母はずいぶん積極的に、亀を入れておくタライを用意して、「小さくてかわいらしい」などと言います。
 小さい亀は可愛いですが、そのうち大きくなり、人間より長生きすることもあるそうです。温度管理もしてやらないといけません。
 そう考えながら、私がぐずぐずと言葉を濁していると、祖母が思いがけない勧め方をしました。

 「ネコのかわりに飼ったらどう?」

 亀とネコの共通点は、四つ足であることぐらいです。
 私が飼い猫を亡くしたショックを引きずっている時期でなかったとしても、違和感を感じる提案です。

 でも、見ていると甲羅の直径が5センチくらいの亀は、かわいらしいです。
 背後からは、祖母が、もう一押しします。

 「名前、考えたげなさいよ」

 答えは保留して、一度、亀の首筋に浮かぶ緑色の模様と甲羅の特徴から、その種類を調べるために自宅へ戻りました。

 「逃がしてやらないとかわいそうだ。」

 こう言ったのは、不機嫌そうに口を結んだ父でした。
 同じへの字口なのに、初対面に近い亀のほうが可愛いのは不思議です。

 「クサガメか…」

 見分けがつくようになり、少し心を揺らしながら祖母の家へ行きました。
 亀を入れてある半透明の青いタライに近づいたとき、ものすごく相手に迷惑をかけていることが、よくわかりました。

 小さな亀のシルエットがプラスチックのタライに濃く青くうつっていて、短い手足をいっぱいに伸ばし、立ち上がり、精一杯上を向いて、どうにか登っていける場所はないかと探していたのです。

 「逃がそう。」

 私は亀をつかみ出すと、増水していた川沿いに歩き、水につかっているコンクリートのブロックを降りてから、そっと亀を水中に置きました。
 亀は数秒、全身を水につけたまま、じっとしていましたが、素早く鼻先だけを水上に突き出して息を継ぐと、手馴れた泳ぎっぷりで底へ向かい、すぐに濁った水の中へ見えなくなりました。

2010年6月25日(土)
「洞察力」

 インターネット上には、ユーモアあふれるプログラムが存在しています。その一つが、「座右の銘」を生成してくれる「座右の銘メーカー」です。
 入力する時、苗字と名前の間に空白を入れるかどうかで結果が変わりますが、ここではハンドルネームの結果から発表します。
 
 あきこ「飛車や角より 地に足つけてる 歩でいいじゃねえか」
 
 予想外に、すごくストイックで渋い結果でした。
 面白いので、ついでに好きな文学作品でも試してみましょう。

 指輪物語「月曜日がキライなのは 週末に何もやってない 言い訳だろ?」

 ホビットの冒険「一番近くにいても 見えない事もある」

 銀河鉄道の夜「愛は過去を凌駕する」

 春と修羅「雨が降り 嵐が来ても 最後は晴れる」

 恐ろしいほど、鋭さを感じさせる座右の銘が続々と出てきました。
 最後にもうひとつだけ。

 車輪の下「ハードルの高さと 飛べた時の達成感は 綺麗に比例する」

 皆さまも、ぜひお試しください。

2010年5月13日(木)
「追いかけてくる」

 奈良は平城遷都1300年祭で賑っています。
 その有名な公式マスコットキャラクターといえば「せんとくん」。
 実は私は、あの見るからに媚びた目の子供に、悪魔的な動物の角を生やしているデザインが、気持ち悪くて嫌いです。
 ところが、同志だったはずの同僚は、現在「えー、カワイくなってきちゃった〜。いいよねぇ。せんとくぅん。」と言うようになってしまいました。
 私は、彼女が主張するように、あのキャラクターを見慣れたせいではなく、一種の洗脳に遭ったのではないかと疑っていますが、それより大きな問題は、同僚との和を尊ぶ社会人として、職場でせんとくんを悪く言いにくい空気が出来上がってしまったことです。
 ため息をついて飲み物を買いに出たら、コトンと落ちてきた紙コップに1300の文字がチラリと見えました。私は、選択の余地なく、せんとくんが表面を走り回っている容器でカフェオレを飲みつつ、サービスの皮をかぶったコマーシャルの効果について考えさせられました。

2010年5月9日(日)
「お見送り」

 ずいぶん日が開いてしまって、ひさしぶりの雑記です。
 先月、20年近く飼っていた猫が老衰で亡くなったので、庭に埋めてから落ち込みがちです。
 埋める前、猫をタオルにくるんで箱に入れながら、私がすこし考えてから「元気でね」と言ったら、母が、涙ぐんでいるのにちょっと笑いながら「それはちがうわよ。」と言いました。
 それで良いようで、ちがうようで、7割ぐらいはしっくりする言葉が、ほかにはありませんでした。
 他に私が、今、何をしているかというと、胸部X線検査の二次検査の結果待ちなどをしています。

2010年5月6日(木)
「ノブドウの育て方.2」

 ノブドウ
 これは、2回目の双葉と、その後から出てきた3枚目の葉っぱです。
 1回目の双葉は、枯れて落ちてしまい、2回目さんもそろそろ黄色っぽくなってきています。
 代替わりしながら、すこしずつ上へ育っていくみたいですね。

2010年3月10日(水)
「ノブドウの育て方.1」

 ノブドウ
 ブドウ科ノブドウ属のノブドウ。  私は、この食べられないけれど美しい色の実が大好きです。緑、紫も良いですが、やはり青い実が一番。まるでターコイズが生きているようなつややかさです。
 ところが残念なことに、野生のノブドウの育て方が書かれているサイトが少ないようなので、私が三つ葉まで成功したお話を書くことにします。
 調べたところ、熟したノブドウの実は青色だそうです。写真で白い矢印が入っているような色の実です。まず、こういう色の実を拾います
 木にあるのを取ってもいいかもしれませんが、大抵、植物が熟した実を落とすのは、種の準備が整っている時なので、拾ったほうが発芽の成功率が高いと思います。
 次に実をほぐして黒い種を出し、果肉を取って土に埋めてしばらくすると、まず、丸みを帯びた双葉が出てきました。
 このあたりの時間経過が適当なのは、2回目のノブドウらしい葉っぱが出るまで、本当に発芽したのがノブドウなのか自信が持てなくて、いつ植えたのか、発芽までどれくらい日にちが掛かったのかを記録していないかったからです。ごめんなさい。

2010年3月2日(火)
「2月が」

 こんにちは。おひさしぶりです。
 パソコンが治ってからかなり経ちました。
 2月が終わりに近づくのもそれなりに時間がかかったはずなのに、なぜ主観的な時間は短く感じるのでしょうか。ふしぎです。
 コメントをくださった方、ありがとうございます。私も、いただいたコメントに癒されました。
 2月は、職場用のバレンタインチョコレートを買いに行ったら、売り場の女性に「大変ですよねぇ。年に1回のこととはいえ。」と労われてしまいました。
 どうして義理チョコを買いに来たのが見破られたのでしょうか。うきうきした空気が足りなかったんだと思いますが、気がついても言わないでくれても良かったんじゃないかと思い、少し落ち込みました。
 
2010年2月26日(金)
「『アバター』感想」

 冬休みに、映画「アバター」を観ました。
 主旋律は地球人と異星人との異文化間交流。
 そこに、ロマンスと、独立のための戦い、地球と異なる惑星の幻想的な動植物、精神性を重視する思想が絡みます。
 ナヴィと呼ばれる異星人達の樹木信仰には、樹木間に、人の脳内のように、神経シナプス状の情報伝達網が存在するという科学的な根拠が与えられていた点が、映画を単なる娯楽映画以上のSF映画たらしめていたと思います。
 以下、感想です。

 主人公は、地球人の1.5倍の体格を持つナヴィに似せて創られた「アバター」と呼ばれるボディに精神を移して活動します。
 彼はオマティカヤ族の族長の娘ネイティリと知り合い、親しくなった末に相思相愛となるのですが、ネイティリには同族で、次期族長となる婚約者がいます。掟破りの恋愛はどうなるのか、という局面で地球人の武力行使が開始。なんて映画らしいナイスタイミング。
 なぜなら、その結果ネイティリの父が亡くなり、厳しい母親は娘をとっちめる余裕が無くなり、地球人の戦略に詳しい主人公が大活躍するからです。
 かわいそうなのは、ネイティリの婚約者だったツーテイ。
 ストーリーの都合上消されてしまいましたから。映画監督に。
 どんなに、誇り高いハンターとして最期を迎えられたとしても、ぽっと出の異星人の男のハッピーエンドのために、次期族長の座も婚約者もかっさらわれて殺されるなんて、同情せずにはいられません。
 序盤で、「ツーテイはネイティリを娶ることになっている」と聞いた瞬間、「ああ、それじゃ、どっかで死ぬ運命なんだな」と先が読めてしまったのも、少々残念でした。
 しかも、地球人とナヴィの人種の違いを、どうやって乗り越えるのかと思っていたら、ナヴィの力で地球人の体から「アバター」に完全に精神を移して、自分の肉体を手放してしまうという方法で解決してしまっていました。
 見方によっては、お手軽で反則な解決法だと思うのですが、さらに見事だったのは、やることなすこと幸運に恵まれっぱなしの主人公がナヴィとして生まれ変わり、戦いに勝ち、族長となり、地位も女も名誉もすべて手に入れる話が、総合して「感動的な良い話」に仕上がっていたところでしょう。
 3Dを駆使し、舞台は未来でファンタジックなのに、本質的な物語はハーレクインなみにステレオタイプなところが興味深かったです。

2010年1月7日(木)
「新年」

 新年
 明けまして おめでとうございます。
 今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 写真のトラは、お腹におみくじが入っていて、元旦に引いたら「吉」でした。

2010年1月1日(金)
「新年間近」

 トップに空の写真を、すこし早めにアップしました。
 この写真、撮るときに狙ったわけでは無かったのに、なんとなく雲の形が「虎」に見えて面白いのです。
 もうすぐ来る新しい年にも、こんなラッキーに恵まれるような、小さな幸せを見つけた気分がしました。
 皆さまも、どうぞ良いお年を!

2009年12月31日(木)
「クリスマス」

 土日の冷え込みから、一転して暖かいクリスマス・イブになりました。
 今日は、母の手作りのクリスマスケーキを楽しむ予定です。
 いい年なのに、色気は無いですね。でも幸せ。そうそう、この前、大阪の高島屋で各地の名菓が一同に集められていました。
 その中にクリスマスをテーマにした干菓子があったので、思わず買ってきました。お店のホームページを見てみたら、さぬき和三盆のばいこう堂さんは季節ごとに可愛い干菓子を売り出されているみたいです。
 クリスマス

2009年12月24日(木)