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「露草…原点その1…」

 庭の、あまり日のあたらない場所に露草を挿しました。早朝に咲く花が好きなので、よその畑の下草から抜いてきた一本でした。 その一本は、植え替えた、と言えることを何もしていないのに数日後、ちゃんと根がついたらしく花が咲きました。
 えらい、強い。すごい。と、花に言いました。このまま、仲間を増やしてくれるとうれしいです。
   ところで、先月書きかけていた話もすこし。
 私の詩的な部分の原点となっているのは宮沢賢治の作品です。それも、詩ではなく 童話です。賢治の童話は、悪者が倒れて大団円になったり、苦労人の主人公が立身出世して終わったり、 「そして死ぬまでしあわせに暮らしました。」となる結末は少なく、たとえば「ツェねずみ」の因果応報に見える末路や、 「注文の多い料理店」でばけものに喰われかける男達、また、「銀河鉄道の夜」の主人公に訪れる親友との別れ、 「まなづるとダァリヤ」の赤いダリヤが摘み取られる場面のような、悲哀や風刺、別れと喪失感が読後の 印象として残る話が多いように思います。
 それら「お話の終わり方」で一番広がりがあり、同時に、つかみ所が無いところが言いようのない魅力だった作品が 「北守将軍と三人兄弟の医者」です。収録されていた本はフォア文庫の『風の叉三郎』で、開くと 「ほくしゅしょうぐん」と題にふり仮名がついています。はじめて読んだのは小学生のころでしょうか。
 作品の詳しい内容については、また次でお話します。

2005年9月8日(木)
「中秋…原点その2…」

 昨晩のお月さまは真ん丸で、白萩の花色で輝いていました。
   さて、原点の話の続きです。
 「北守将軍と三人兄弟の医者」は、まず名医の三人兄弟を紹介するところから始まります。 人の医者リンパー先生、リンパーの弟で馬やひつじの医者のリンプー先生、末のリンポー先生は草や木の医者でした。 三人とも腕が良く、人徳もあったのですが、お話の最初では、まだ名声も高くなく、高い位についているわけでもありません。 本文にはその理由は「いい機会がなかったため」と語られています。
 次に、三人の名医の国へ凱旋してくるのが将軍ソンバーユーです。将軍は国の北辺の砂漠で三十年の長きに渡って 敵と戦い、ついに相手を滅ぼして帰還したのです。将軍は七十歳、彼の愛馬も今や三十五歳です。 つとめを果して帰ってきた将軍と兵士達を、城下の人々は嬉し涙を 流して出迎え、もちろん王宮からも将軍を迎えに大臣がやってきます。
 ところが、馬を下りて参内しようとした将軍は、なんと身体と鎧と馬がぴったりくっついて馬から降りられないこと に気づきます。将軍は三十年間一度も馬を下りたことがなかったのです。その上、将軍も兵士達も、その体には 植物ともつかぬ灰色の不思議なものが全体に生えていて、これではとても王様の御前へまかり出られません。
 ソン将軍は急いでお医者にかかりに行くことになります。

2005年9月19日(月)
「更新情報」

 今日は、単葉に「弦月仰ぐ」をアップしました。
 なんだかワンシーズン1更新とあいなっておりますね…。

2005年9月21日(水)